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河内保二主宰の経済工学リサーチの発信情報

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常識守って製造業消滅か

2.常識守って製造業消滅か

1) 構造改革のもたらす”役割の終わった産業の退場”という痛み
現在は小泉内閣による構造改革の中で、産業や生活に一段の痛みが襲っており、縫製業界もかってない苦難の中にいる。物価下落は歯止めのない縫製工賃の引き下げ圧力となって縫製工場に襲う。構造改革は付加価値を生まなくなった産業は役割を終わったものとして退場させ、新しい産業を創出するために行われるものとされる。縫製の国内生産は発注量の激減と加工賃の引き下げのダブルパンチで、縫製業者はほとんどの企業が赤字経営を強いられ、倒産や廃業が続出の状態となっており、縫製工場が消滅の恐怖の中にあるとされる。京都の西陣の状況も心が痛む。京都では、倒産した西陣織の機屋から何百年と蓄積された織物の型紙がヨーロッパのファッション・ブランドにより大量に買い付けられているということで、浮世絵などが二束三文で国外に流出した江戸末期と同じ状態だという。数年後に、ブランド物のバッグに西陣の模様が次々とあしらわれるかもしれないと、総務省総務審議官の月尾嘉男氏は述べている。現に工業統計や繊維統計から消滅する業種として、「養蚕農家」「古綿打直業」「絹紡績業」が上げられており、平成14年10月から消滅する。そうした中、政府・自民党は繭から生糸を製造する「製糸業」の廃業を補助して促すことにしたという。製糸工場は現在7工場あり、このままでは全部共倒れして、1社も残らなくなるとして、廃業を促して2社程度が残るように絞り込むとする。このため廃業補助金として1億5千万円を見込み、これは廃業に当たっての設備廃棄や従業員退職金などの資金の3分の1を負担する仕組みだという。すでに平成11年工業統計では従業員数30人以上の縫製事業所が10事業所以下となった服種が次のように示されていて、消滅の恐怖はまさに目前の感がある。「毛皮製衣服・身の回り品製造業=4事業所(従業員数250)」「足袋製造業=7事業所(従業員数358)」「ネクタイ製造業=7事業所(従業員数262)」「ハンカチーフ製造業=3事業所(従業員数106)」「刺繍業=9事業所(従業員数558)」となっていて寂しい限りである。因みに繊維工業で消滅目前業種として従業員数30人以上の事業所が1事業所だけになったのは、「製綿業」と「その他のレース・繊維雑品製造業」、2事業所だけになったのは、「横編ニット生地製造業」、「その他の紡績業」「ボビンレース製造業」となっており、すでに消滅したかもしれず、ゾォーッとするような恐怖が襲う。まことに大変な事態である!。


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